学位の取り扱い

Last modified on Sunday March 18, 2018


わかりにくい高専学位の取り扱い

大学・大学院への出願に向けて準備をはじめ,まず悩むのが高専卒業者の学位の取り扱いです.出願の際に提出する書類には,ほぼ確実にこれまでの経歴を記入する欄があります.とくに留学に限らず,国内の大学へ出願する際も同様ですね.この書類には,学位を取得したかどうか,もし取得したのであればどういった学位をもっているのかを記入することになります.一般的な大学を卒業した場合には特に悩むこともなくBachelor of XXと書いておけばまず問題ありませんが,高専を卒業し,専攻科を修了した場合にはどうなるのでしょうか…?このページではこういった疑問に答えていきたいとおもいます.

大学へ問い合わせる

これが鉄則です.まずは大学の入学担当者へ問い合わせましょう.担当者に言われた通りに書類の準備を進めていけば,まず問題は起きません.必ず電子メールなどの_記録が残る_手段を使って問い合わせ,疑問を解決しておきます.単純な書類の不備で出願が却下されてしまうのはあまりにももったいないです.ただし入学担当者も人間ですから,必ず期待した回答が返ってくるわけではありません.以下では出願の際の一般的な疑問点について解説をします.

準学士は学位ではない

みなさんご存知の通り,高専本科の卒業式で卒業証書をもらうと,そこには「準学士と称することを認める」ということが書かれています.英語では準学士のことを「Associate」なんて言ったりしますね.これは短期大学を卒業するのと同等,なんていう話をどこかで聞いたことがあるかもしれません.しかし残念なことに,これはあくまで日本国内での話です.正確には,高専本科卒業でもらえる準学士はいわゆる学位(Degree)ではなく,あくまで卒業した高専から授与される「称号」です.このため学位記をもらうことはできません.ちなみに短大を卒業するともらえる「短期大学士」は法的に認められた学位であり,学位記をもらうことができます.なんだか不思議な制度ですね.

さてこれが出願にどう影響してくるかですが,自身の経歴を記入する際に,高専本科卒で学位有りということを記入してしまうと,後で大学側から学位記(Diploma)を提出するように要求される可能性があります.もちろんそのようなものは高専本科卒ではありませんから,提出することはできません.このようなトラブルを避けるためにも,必ず大学へ問い合わせることが重要です.大学によってこのような状況の取り扱いは大きく異なります.ただし出願ギリギリでどうしても問い合わせが間に合わない,というような状況であれば,Degreeなしとしておくのが良いかもしれません(自己責任で!).

学位記を発行するのは学位授与機構

晴れて専攻科を修了しました.しかし残念ながら修了証書授与式では学位記はもらえません(追記:これは私が修了した2015年の話であり,現在はシステムが変わっているかもしれません).ご存知の通り,高専専攻科を修了しても学位を発行するのは大学評価・学位授与機構(追記:大学改革支援・学位授与機構と名称が変わったようです)であり,卒業した高専ではありません.つまり勉強をしたところと学位を発行するところが異なるのです.さらに別の言い方をすれば,成績表に書かれている教育機関の名前と,学位記にかかれている機関の名前が異なるのです。大学担当者からしてみれば,これは非常にわかりにくい仕組みです.

もちろんこの場合も同様,大学に問い合わせるのが鉄則です.必ず確認しましょう.ただし私の経験では,高専専攻科を卒業した際に学位も授与された,とみなして良い場合が多いようです.これは学位取得に必要となる単位などを取得したのが高専であり,これに基づいて学位が授与されているためです.ただし何度も言いますが,無駄な誤解を生まないよう,かならず問い合わせましょう.

余談:私が専攻科を修了する直前に,国立高専の英語での名称が変更されるという事態が起きました(XX National College of Technology → National Institute of Technology, XX college).良く見ると最初に提出した書類と,今回提出した書類で名称が変わっているではないか…!というわけで,いちいちformerly known as XXとか書くことになりました.いやー,あと1年早く(あるいは遅く)変えてほしかった…