大学院出願の特徴

Last modified on Thursday January 11, 2018


いわゆる「入試」はない

日本からアメリカの大学院に留学した人は,みな声を揃えて「大学院出願というのは就活のようだ」と言います(私は日本で就活をしたことがないので良くわからないのですが,多くの人がこのように言うので,たぶんそうなのでしょう)。多くの日本の大学院では筆記試験が行われるのに対し,アメリカではそのように一斉に行われる試験というのはありません。基本的には必要となる書類をそろえてインターネットで提出すれば,あとは合否の連絡を待つのみです。唯一行われる試験としてはGRE(留学生はTOEFLも)がありますが,試験機関が定める範囲内で何回でも受けられますので,その中から最も良いスコアを出せばよいのです。

具体的には,GREはAnalytical writing, quantative reasoning, verbalの3つのセクションに分かれていますが,留学生はTOEFLを受験していますので,Analytical writingとVerbalのスコアはあまり重視されないと言われています。そうすると残されたのはquantative reasoningになりますが,これはEngineering系を受験する場合は100%近いスコアを得るのが一般的ですので,結局のところGREは足切り程度にしか使われないのが現状のようです。またTOEFLで,ものすごい良い点を取ったからといって,出願に有利に働くという話もあまり聞いたことはありません。

とすると出願にあたって重要なのは,試験以外の部分になってきます。

自分を知る

就活では自己分析が大切なんて言われますが,実は海外の大学院へ出願する際も同じです。たとえばStatement of Purposeでは,これまでどういったことを学び,今後どのようなことをしていきたいのか,ということを一つのストーリーとして書いていきます。このとき自分のことがよくわかっていないと,うまく物語を構成することができません。また推薦状を依頼する場合でも,自分のことについていろいろと質問されるはずです。大学院出願にあたって,自己分析は非常に重要なことなのです。

なお就活の準備と異なる点としては,基本的に自分の弱点というのは聞かれませんし,自分の弱みを克服して成長できたというストーリーにしない限りそのようなことをSoPに書く必要もありません。逆に日本人の感覚からすると,自分の長所を多少盛る程度でもよいと思います。ウソを書いてはいけませんが。

コネをつくる大切さ

アメリカをはじめとする国において,コネは私たちが考える以上に重要です。コネで大学院に入ったというと,日本の感覚では公正でない入試,あるいはそこまでいかなくとも少し悪いイメージが浮かびます。しかしアメリカではコネが与える影響は非常に大きく,またそれが非常に一般的です。たとえば推薦状をとって考えてみても,たとえば出願先で配属を希望している教員の知り合いから推薦状がもらえれば,入学できる確率は大きく上がるでしょう。アメリカでは,信頼できる人からの情報は信頼する,そうでなければ信頼できない,という考え方が一般的ですので,人脈作りはとても大切です。